社長コラム 社長 岡田学が倉敷化工の「今」と「未来」を語る

第7回 投資、投機、ギャンブル

2017年3月20日

倉敷化工株式会社 代表取締役社長 岡田 学

最近、天然ゴムの価格が高騰して1年前の約2倍になっており、天然ゴムを原料にした防振ゴムの製造を生業にしている弊社にとって大きな痛手になっています。とは言え、リスクヘッジとして天然ゴムの先物取引で相場を張るのは、「1円、1秒の改善活動に日々努力している製造業」にとって、あまりにも安易で危険な行動と思っています。

30年前に山崎豊子さんの「不毛地帯」を読んで、主人公のビジネスマンとしての活躍に感動した記憶がありますが、その中で繊維商社である近畿商事の大門社長が綿花の先物取引で大損したくだりがあり、大企業でこんなリスキーなことを行っているのかと驚きました。日本では90年前後のバブル経済では土地や株の売買で本業をしのぐ利益や損失を出してその後の金融危機につながる訳ですが、最近でもコンピューターでの株の秒単位での売買や、企業の将来育成ではなく短期利益を目的にして企業売買する投資ファンドが幅を利かせています。

ここで、「投資(Investment)」「投機(Speculation)」「ギャンブル」の定義を整理してみましょう。まず、「投資」とは、将来を見込んで事業に資金を投下する事で健全なビジネスでは必要な行為です。「投機」とは、市場の変動を分析しながら損失リスクも冒しながら大きな利益を得ようとする事で短期的な政策と言えます。そして、「ギャンブル」とは、博打のことで大きな利益を得るためにまぐれ当たりを狙う事で絶対避けねばなりません。

会社経営に於いて重要なことは、「浮利を追わずに努力に見合った利益を上げて堅実に成長していくこと」と肝に銘じているのですが、堅実とは程遠いギャンブル的・投機的な誘惑が多いのが実態です。例えば、ゴム相場に代表される先物取引、為替においても常識的なリスクヘッジを越えた為替ディール、投機レベルのアクティブな年金運用、本業ではない土地・株・不動産の売買、本業とシナジーのない企業買収などなど、合法的ではありますが、堅実とは言いがたい商売がなんと多いことか。

弊社では当然ながら、投機的な先物取引や年金運用、また本業と関係ない土地・株取引は御法度であります。しかしながら、将来性のある設備投資やビジネス拡大を疎かにして、すべてのリスクから逃避することは「将来の芽を潰す大きなリスク」だと考えています。

このように、成長を目指して設備・事業への投資を良く分析して行い、また特に疎かになりがちな人財育成へも投資していく「エクセレントな会社」になりたいと思っています。

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