精密除振技術
床の振動を半導体や液晶製造検査装置、
超精密加工機械などの精密な装置に伝えない技術
除振とは?
床から発生する振動を、搭載装置へ伝えないようにすることを『除振』といいます。
搭載装置を弾性体で支持し、床の振動を低減します。
除振の原理
(図1) 空気ばね除振台
空気ばねによる除振
- ・精密な機器に床の振動を伝えたくない場合、除振台を使用する必要があります。
- ・一般的に除振台は、空気ばねにより装置を支持します。(図1)
- ・除振台は3点以上の空気ばねで支持します。
- ・除振台の受ける荷重により空気ばねのサイズを決定します。
- ・空気ばねは柔らかい(共振周波数が低い)ほど高性能で除振域が広がります。
振動伝達率
- ・除振台上の振動と床の振動の比を振動伝達率と呼びます。(図2、3)
- ・振動伝達率が0dBより大きい場合は、共振域となり振動が増幅しています。
- ・振動伝達率が0dBより小さい場合は、除振域となり振動が低減しています。
- ・振動伝達率がピークとなる周波数を固有振動数と呼びます。
(図2) 除振モデル
(図3) 振動伝達率の式
水平方向の除振
- ・振動は上下方向だけでなく水平方向、回転方向の合計6個の自由度があります。
- ・一般的なダイアフラム形空気ばねでは水平方向の固有振動数が上下方向の数倍となり装置に影響を与えやすくなります。
- ・除振台は上下方向のみでなく、水平方向の固有振動数も低くすることが重要です。
パッシブ固有技術
ジンバルピストン
Stable除振台にはダイアフラム形空気ばねのピストンの中にジンバル機構を組み込んでいます。
特長
- ・コンパクトな構造
- ・やわらかい水平方向のばね特性が得られます。上下方向と同等の除振効果を得ることができます。
ドームジンバルピストン
ドームジンバルピストンはジンバルピストンのロードディスクの上面に球面状の転動子を設けることにより、ジンバルピストンよりも非常に低いばね特性が得られたものです。
ジンバルピストン1.2Hz
ドームジンバルピストン0.8Hz
特長
- ・二重構造よりも安価で性能も優れています。
※重心が高い搭載機器の場合は適用できない場合もありますので当社にご相談下さい。
アクティブ固有技術
アクティブ除振台の制御
除振性能
除振は装置もしくは定盤の振動を加速度センサで検出して制御するフィードバックと、床の振動を検出し制御するフィードフォワードに分かれます。倉敷化工は両方を標準で装備しています。
制振性能
制振もフィードバックとフィードフォワードに大別されます。フィードバックは変位センサにより変位を制御します。フィードフォワードは繰り返す外乱に効果があるFFKEAP制御とランダムな外乱に効果があるMFF(モーションフィードフォワード)に分けられます。フィードフォワードはオプション対応です。
非連成制御
センサからの入力信号を無駄なく効果的に4脚に分配する制御です。
除振性能
上図は微小振幅の床振動下で測定した性能例です。
空気ばねの優れた除振性能にアクティブ制御を加えることにより、共振がなくなり全周波数域での除振が可能です。
- ・非制御時(パッシブ)
空気ばねのみ - ・制御時(アクティブ)
フィードバック制御+フィードフォワード制御
ランダムなステージの動きに対する制振
MFF(モーションフィードフォワード)は、ステージの動きがランダムな場合に、事前に入力されたステージ移動情報を元に揺れを推定し、除振台あるいは装置が揺れる前に制御を開始する制御法です。